Satoshi Plusは、Coreのバリデータを選ぶための仕組みです。「BitcoinとPoSを組み合わせた方式」と短くまとめられることが多いのですが、それだけでは、誰が何を委任し、誰が実際にブロックを作っているのかが分かりません。
この記事では、2026年8月5日時点のCore公式ドキュメントとホワイトペーパーで確認できる範囲に絞って、3種類の委任、バリデータ選出、Bitcoin側の情報の扱い、報酬の基本構造、そしてこの仕組みが保証しない範囲を整理します。
Core全体の位置付け(EVM互換のLayer 1であること、Core blockchain・Core DAO・COREトークンの違いなど)は、Coreとは?Bitcoinと連携するEVM互換Layer 1の仕組みで説明しています。当サイトはCore DAOの公式サイトではありません。パラメータや条件は変更される可能性があるため、利用時は公式情報で再確認してください。
結論:Satoshi Plusは3種類の委任でCoreバリデータを選ぶ構造
公式資料の説明を要約すると、Satoshi Plusは次のように動きます。
- Bitcoinのマイナーが、ハッシュパワーの委任先としてCoreバリデータを指定する(DPoW)。
- BTC保有者が、Bitcoin上でBTCをタイムロックし、支持するCoreバリデータを指定する(セルフカストディアルBTCステーキング)。
- CORE保有者が、COREをCoreバリデータへ委任する(DPoS)。
- Coreは3種類の支持を集計してスコアを計算し、上位のバリデータを選出する。
- 選出されたCoreバリデータが、Coreのブロックを生成・検証する。
ここで重要なのは、BitcoinのマイナーやBTC保有者がCoreのブロックを作っているわけではないという点です。彼らが行うのは「どのCoreバリデータを支持するか」の表明であり、Coreのブロック生成と検証はCoreバリデータが担当します。BitcoinのブロックがCoreのブロックになるわけでも、CoreがBitcoinのPoWだけで動作するわけでもありません。
Satoshi Plusの3要素
DPoW(Delegated Proof of Work)
Bitcoinのマイナーやマイニングプールが、支持するCoreバリデータをBitcoinブロックのcoinbaseトランザクションに記録します。公式資料では、OP_RETURNフィールドへ委任先のバリデータなどのメタデータを書き込む方法が説明されています。
- Core専用の追加マイニング計算を行う仕組みではありません。通常のBitcoinマイニングと並行して参加します。
- 公式資料は、この委任が追加のエネルギーを必要とせず、Bitcoinのマイニングを妨げないと説明しています。
- 委任されたハッシュパワーは、Core側でバリデータの選出スコアへ反映されます。ホワイトペーパーは、スコア計算に一定期間前の委任実績を用いると説明しています。
- 報酬は原則としてCOREで支払われ、Bitcoinのブロック報酬とは別の追加収入として説明されています。
一方、次のようには説明できません。
- BitcoinマイナーがCoreのトランザクションを直接検証している。
- BitcoinのハッシュレートがCoreへ移動している。
- BitcoinのPoWがCoreのブロックを直接確定している。
- BitcoinのセキュリティがそのままCoreへコピーされ、CoreがBitcoinと同じ安全性になる。
Self-Custodial Bitcoin Staking
BTC保有者は、Bitcoinネットワーク上でCLTV(CheckLockTimeVerify)を使ってBTCをタイムロックし、支持するCoreバリデータとCORE報酬の受取先を指定します。
- BTCをCoreへBridgeしません。
- BTCをラップトークンへ交換しません。
- BTCをCore上のスマートコントラクトへ預けません。
- 第三者の保管先へBTCを移転しない設計です。ホワイトペーパーも、秘密鍵の管理を手放さず、第三者、外部のスマートコントラクト、MPCウォレットへ資産を移さないと説明しています。
- タイムロック中のBTCは使用できません。
- 満了後にBTCを再び使うには、償還のための操作が必要です。
- 報酬は原則としてCOREで支払われます。
「セルフカストディアル」は、BTCを第三者の保管先へ移転せずにBitcoin上で管理したままタイムロックする設計を指す言葉であり、無リスクという意味ではありません。
最低数量や最低期間などの条件は、利用する方法(公式UIか、スクリプトによる直接操作か)で異なる場合があります。この記事では固定値を掲載しません。
DPoS(Delegated Proof of Stake)
CORE保有者は、COREをCoreバリデータへ委任します。
- 委任されたCOREは、バリデータの選出スコアへ反映されます。
- 委任先は変更できます。委任量が多いバリデータほど選出されやすくなります。
- バリデータはコミッションを差し引いたうえで、残りを委任量に応じて委任者へ分配すると説明されています。
- 委任者自身がCoreのブロックを生成するわけではありません。
- DPoSだけでSatoshi Plusが成立するわけではなく、3要素のうちの1つです。
「DPoSだから高速」「DPoSだから低コスト」「委任すれば確実に報酬を得られる」といった説明は、公式資料から確認できません。報酬は条件を満たした場合に対象となるもので、元本や報酬が保証される仕組みではありません。
3種類の委任でCoreバリデータを選ぶ流れ
公式資料は、3種類の委任をそれぞれ「ネットワーク全体に対するそのバリデータの割合」として正規化し、重みを掛けて合算したスコア(hybrid score)でバリデータを順位付けすると説明しています。
| 集計されるもの | 誰が委任するか | 記録される場所 |
|---|---|---|
| 委任ハッシュパワー | Bitcoinのマイナー・マイニングプール | Bitcoinブロックのcoinbaseトランザクション |
| タイムロックされたBTC | BTC保有者 | Bitcoinのトランザクション(CLTVスクリプトとメタデータ) |
| 委任されたCORE | CORE保有者 | Core上のトランザクション |
考え方は次のとおりです。
- 3要素それぞれについて、全体に占める割合が計算されます。
- 各要素には重みがあり、重みの合計は1になるとホワイトペーパーは説明しています。
- 重みはガバナンスで設定変更できるとされており、固定された比率ではありません。
- スコア上位のバリデータがアクティブなバリデータ集合に選ばれ、順番にブロックを生成します。
- 委任した本人がブロックを作るわけではありません。
選出されるバリデータの数、選出の周期、ブロックの間隔、バリデータ集合の更新間隔、各要素の重みの現在値は、いずれも変更され得るパラメータです。この記事では固定値として掲載しません。利用や検証の目的で正確な現在値が必要な場合は、公式ドキュメントで確認してください。
Bitcoin側の情報をCoreが参照する方法
DPoWとBTCステーキングの情報は、Bitcoin上に記録されます。Coreはそれを次のように取り込むと説明されています。
- リレイヤーが、BitcoinのブロックやトランザクションのデータをCoreへ伝送します。ホワイトペーパーによれば、COREを預託すれば誰でもリレイヤーになれます。
- Coreに組み込まれたBitcoinライトクライアントが、送られてきたデータを検証します。BTCステーキングでは、タイムロック用のスクリプトやメタデータの内容が確認対象になります。
- 検証された委任情報が集約され、バリデータの選出スコアや報酬の計算へ反映されます。
- ベリファイアは、ネットワーク上の不正な挙動を報告する役割として説明されています。報告が認められた場合、対象バリデータの報酬やステークのスラッシュ、またはjail(一時的な除外)につながるとされています。
つまり、Bitcoin側のデータは「リレイヤーを信頼してそのまま採用する」のではなく、Core側のライトクライアントによる検証を経て反映される設計です。一方で、誰かがデータを伝送しなければCoreへ反映されないという依存関係は残ります。
また、Coreの状態がBitcoin側で検証されているわけではありません。CoreがBitcoinのデータを参照することと、BitcoinがCoreの全状態を検証することは別の話です。
選出されたCoreバリデータの役割
- Coreのブロックを生成し、トランザクションを検証します。
- 順番にブロックを生成する形で運用されると説明されています。
- ブロック報酬とトランザクション手数料を受け取り、コミッションを差し引いた分を委任者へ分配します。
- 稼働状況が悪い、または不正が報告された場合、jailやスラッシュの対象になり得ます。
委任者から見ると、どのバリデータを選ぶかは、受け取れる報酬にも、その資金が支える対象にも影響します。
参加者と報酬の関係
- 報酬資産は原則としてCOREです。BTCをステーキングしてもBTCで報酬が支払われるわけではありません。
- 公式資料では、Bitcoinマイナー、BTCステーカー、COREステーカーに加え、バリデータ、リレイヤー、ベリファイアにも配分の枠があると説明されています。
- 各参加者が受け取る額は、委任量、選んだバリデータの稼働状況とコミッション、プロトコル側の設定などの影響を受けます。
- 配分の比率や倍率は、ガバナンスなどによって変更され得ると説明されています。
このため、この記事ではAPR・APY、報酬倍率、CORE対BTCの比率、ティアの名称や数、各報酬枠の割合、バリデータごとの現在のコミッション、現在の報酬額、CORE価格を掲載しません。「参加すれば報酬を得られる」ではなく、「条件を満たした場合に報酬の対象になり得る」という理解が正確です。
Satoshi PlusとDual Stakingの関係
Dual Stakingは、BTCとCOREの両方をステーキングした場合に、BTCステーキング側の報酬ティアへ影響する仕組みです。
- 影響するのはBTCステーキング側の報酬配分であり、COREステーキング自体の報酬を直接増やす仕組みではありません。
- 判定には、COREステーキングに使うアドレスと、BTCステーキングのCORE報酬受取アドレスをそろえる必要があると説明されています。
- 必要な比率、ティアの数、倍率は設定変更やガバナンス投票の対象で、市場状況によっても変わり得ると明記されています。
Dual Stakingはバリデータ選出の3要素そのものではなく、報酬配分に関わる仕組みとして分けて理解してください。
Satoshi Plusが意味すること・意味しないこと
公式資料から確認できるのは、次のような構造です。
- Bitcoinマイナーの委任、Bitcoin上でタイムロックされたBTC、委任されたCOREを、バリデータ選出へ反映する。
- 異なる立場の参加者を、選出という一点に組み込む。
- 選出されたCoreバリデータがCoreを運用し、不正時にはスラッシュやjailの対象になり得る。
一方、次は上記の構造だけからは言えません。
- CoreがBitcoinと同じ安全性を持つ。
- Coreの全状態がBitcoin上で決済・検証される。
- Coreが攻撃されない、バリデータの共謀が起きない。
- Coreが完全に分散化されている。
- 実装上の不具合やガバナンス上のリスクがない。
- Core上のBridgeやdAppが安全である。
- ブロックチェーン・トリレンマを解決した、セキュリティ・分散性・スケーラビリティを同時に最大化した。
公式資料は、ネットワークの稼働性や安全性について、悪意あるバリデータが3分の1未満であることなどの前提を置いて説明しています。これは前提条件のある性質であり、無条件の安全性ではありません。公式資料にある「Bitcoinのセキュリティに支えられた」「高性能」といった表現は、発行者側の評価表現として読み、具体的な構造と分けて考えてください。
主なリスクと注意点
- バリデータ: 実装や運用の不具合、停止、共謀の可能性があります。選んだバリデータの稼働状況やコミッションは報酬に影響します。
- パラメータの変更: 選出の重み、報酬配分、Dual Stakingの条件などは、ガバナンスなどで変更され得ます。
- Bitcoinデータの反映: リレイヤーによる伝送と、Core側の検証処理に依存します。伝送や処理の遅延・障害の影響を受ける可能性があります。
- BTCのタイムロック: ロック中はBTCを使用できません。満了後に使うには償還のための操作が必要で、Bitcoinネットワークの手数料もかかります。
- 報酬と価格: 報酬はCOREで支払われるため、受け取る価値はCOREの価格変動の影響を受けます。報酬率も変動します。
- COREの委任: Core上のトランザクションを伴うため、ウォレットに表示される送信先、委任額、トランザクション内容、署名要求、ガス代、接続中のネットワークを確認する必要があります。
- 偽サイト・偽サポート: 偽のステーキングサイト、偽バリデータ、偽サポートに注意し、接続先は公式情報から確認してください。
- 範囲の違い: Coreのコンセンサスの説明は、Core上のBridgeや個別dAppの安全性を保証しません。
まとめ
Satoshi Plusは、Bitcoinマイナーのハッシュパワー委任(DPoW)、Bitcoin上でタイムロックされたBTC(セルフカストディアルBTCステーキング)、委任されたCORE(DPoS)の3種類を、Coreバリデータの選出スコアへ反映する仕組みです。
実際にCoreのブロックを生成・検証するのは、選出されたCoreバリデータです。Bitcoin側の情報はリレイヤーが伝送し、Coreに組み込まれたBitcoinライトクライアントが検証したうえで反映されます。報酬は原則COREで支払われ、配分に関わる設定は変更され得ます。
この構造は、複数の立場の参加者をバリデータ選出へ組み込むものであり、Bitcoinと同じ安全性や、無条件の分散性・拡張性を保証するものではありません。実際に参加を検討する場合は、公式情報で現在の条件を確認し、委任先、ロック期間、償還方法、手数料、署名内容を確認したうえで判断してください。